気管支喘息は、気道が慢性的に炎症を起こしている病気です。言い換えると、空気の通り道(気道)の内側が赤く腫れている状態(炎症)なのです。腫れている原因は、ハウスダストやダニのアレルギーのことが多いですが、そうでない(非アトピー型)人もいます。いずれにせよ、昨今の医療技術の進歩である、気道を直接観察できる「気管支鏡」で、気道を観察すると、炎症していることがわかったのです。
その炎症がひどくなると、気道を空気が通りにくくなり、ヒューヒュー、ゼーゼーし、息苦しくなるのです。このひどくなった状態が、「喘息発作」です。
ここで考えてほしいのは、ヒューヒュー、ゼーゼーしたりしなくても、気道が腫れている状態があるということです。この状態は、はっきりした症状がないため、「喘息ではありません。」というお母様が多いですが、症状がなくても気道が赤く炎症していれば、「喘息」なのです。
このため、気管支喘息の治療は、症状がなくても、治療を続ける必要があるのです。ここが、風邪などの治療と違うことです。
では、いつまで治療を続ければよいでしょうか?
一般小児科医を対象とした「小児気管支喘息ガイドライン 治療・管理ガイドライン」(日本小児アレルギー学会 作成)には、『症状のコントロール』、『呼吸機能の正常化』、『QOLの改善』という『治療目標』が達成され、この状態が3ヶ月以上維持できれば、治療薬の減量を試みると記載されています。
こうしたガイドライン通りにすることも難しいですが、病状は一人一人違い、それぞれに評価を行い、適正な治療を行うのは、大変難しく、お子様、保護者の方とともに、しっかりと連携する必要があります。
2歳くらいまでの乳幼児は、空気の通り道(気道)が狭いためぜんそく以外でも、細菌やウイルスに感染して気道が炎症を起こすとゼーゼーしたりして喘息のような症状をおこすことがあります(細気管支炎、喘息性気管支炎)。
次のような症状がでて、繰り返す場合は、喘息も疑われますので一度受診してください。
いずれの発作を認めた場合は受診してください。
小発作: | 食事や通園・通学などの日常生活ができ、苦しくて夜目が覚めるようなことはないが、背中や胸に耳をあてるとヒューヒュー・ゼーゼー(喘鳴 ぜんめい)が聞こえます。 |
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中発作: | 食事があまり摂れない、夜も苦しさでときどき目を覚ます、歩くと苦しくなる、会話がくるしくなり、周りにも喘鳴が聞こえる。無理をして通園や登校せずに受診しましょう。 |
大発作: | 日常生活が全体的にできなくなり、喘鳴がはげしくなります。必ず受診してください。 |
呼吸不全: | 大発作が進んでさらに悪化した状態です。顔色や唇が青白くなり、ぐったりします。ただちに救急で病院へ! |
ぜんそく治療はくすりだけはありません。発作が起きてしまった場合はとにかく発作を鎮静化させますが、おこさないように予防することが重要です。患者様とわたくしたちの二人三脚で行うことが大切です。